全国高校サッカー選手権大会の決勝戦は、富山第一高校vs星稜高校。1年前は、国立競技場で
鵬翔高校を応援していたことを懐かしく思い出しながら、日々、高校サッカーにどっぷりつかっている
次男(高2)や家内と一緒に、テレビで観戦しました。
史上初の北陸勢同士の対戦となったこの試合、富山第一が後半ロスタイムに追いついて延長へ。
延長後半の終了間際、富山第一は、ロングスローからのこぼれ球を、鮮やかなシュートでゴール
ネットに突き刺し、まれに見る大熱戦は、富山第一が3-2で逆転勝ち。初優勝を飾りました。
星稜には、昨年の大会の準決勝で鵬翔が対戦してPK勝ち。富山第一には、今大会の準々決勝で
日章学園が負けています。また、昨年夏の甲子園では、延長戦にもつれこんだ準々決勝で
延岡学園がサヨナラ勝ち。幻のダブルプレーもあり、忘れ難い試合となりました。
そのような2チームの対戦、両チームにシンパシーを抱きながら観戦したところです。
ちなみに、富山県は、家内の母親の故郷。また、昨年、本県と同様に、置県130年を迎えた
<同士>でもあり、日章学園に勝ったチームでもあることから、気持ちの上では少し肩入れ。
忘れ難いシーンがいくつもあったこの試合。特に印象深いのは、試合が終了しようかという
ギリギリの後半ロスタイムに得たPK。富山第一キャプテンの大塚翔選手、とてつもない
プレッシャーの中で、よく決めたと思います。星稜のOBですが、今回のワールドカップ出場を
決めた本田選手のPKを思い出しました。大拍手です。チームが延長後半に勝ち越した後で
交代を告げられ、彼がピッチを退くとき、父親でもある大塚監督とガッチリ抱き合ったシーン、
思わずウルウルきました。
<最後まであきらめない><最後の数分にドラマが待っている>、よく言われることですが、
この試合でも、改めて思い知らされました。その姿勢を徹底し、何度も何度も攻撃を跳ね返され
ながらも、自分たちのサッカーを貫いた富山第一に、深く敬意を表します。
富山第一は、試合を通じてボールを支配し、工夫をこらしたセットプレーなどで、終始攻勢を
かけていたという印象。その中でも、ひときわ輝いていたのが、左SBの竹澤選手。一昔前の
DFでは考えられないような巧みなドリブルや突破、正確な高速クロス、トリッキーなパスなど、
完全に攻撃の起点となっていました。彼のところにボールが収まると、何かが起こる予感が
する選手。結果的に、起死回生の同点ゴールとなるPKをもらったのも彼のプレー。
文句なしのMVP。これからが楽しみです。
この試合、星稜の河崎監督の無念さ、いかばかりかと思います。2点をリードした時点で、
2試合連続ゴールした2年生FWを交代させ、残り数分で、それまでセンスあふれる見事な
プレーを続け、先制のPKも決め、まさにチームの柱として大活躍していた、キャプテンの
寺村選手を交代させています。その直後に、まさかの同点劇が待っていました。
もちろん、しっかりゲームを終わらせるプランのもとでの交代だと思いますが、残り数分での
同点、さらには延長での逆転と、思いもよらない結末となりました。星稜は、素早い寄せと、
人数をかけた守り、鉄壁のシュートブロックで、ここまで無失点で勝ち上がってきました。
まさか残り数分で、2失点するとは。
交代させられた寺村選手、様々な思いが去来していたことと思います。カメラがずっと
その表情を追っていました。「たられば」は禁物ではありますが、彼がピッチに残っていたら、
この試合はどうなっていたか。本人にとっても、監督にとっても、辛い結末となりました。
星稜は、昨年の準決勝で鵬翔と対戦したときも、強力な2トップに、上背のある強力DFを擁し、
素晴らしいチームだなと感心したのを覚えています。今回も、徹底的に鍛えられた守備や、
集中を切らさないチームとしてのまとまりが印象的な好チームでした。
優勝した富山第一。PK職人と呼ばれるような第2GKを擁するほか、攻撃の起点となるSB、
得点感覚のあるFW、サイドのスピードスター、決勝点を決めた絶対的な左足キッカーなど、
キラリと光る武器を持った選手がいたように思います。その個性が集まって、全国の頂点に
たどり着きました。関係の皆様に、心からお祝いを申し上げます。
昨年の鵬翔高校に続き、今大会も、初優勝校が誕生しました。九州も北陸地方も、それぞれ
強化のための練習試合を行って切磋琢磨するなど、長年の取組みが成果をもたらしています。
こうした動きが全国のモデルとなり、さらには、Jリーグ関係のユースチームにも刺激を与える
ことになるものと期待されます。時あたかも、ユースへの道が閉ざされて星稜高校に進んだ
本田選手が、ACミランで10番を背負うこととなり、世界的な選手となったわけです。
国立最蹴章、意義深い大会となりました。
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高校サッカー決勝戦
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