ソチ冬期オリンピックが閉幕しました。NHKでは、連日、コブクロのテーマソングを耳にして、
より親近感を覚えた大会でした。いい曲です。(注:作詞・作曲が宮崎市出身の小渕健太郎さん。)
練習環境やスポンサー、知名度など、夏季オリンピックの種目と比べて厳しい条件の中で戦って
いる選手の姿には、夏とはまた異なった感動を覚えます。期待通りの活躍もあれば、思いがけない
不振や敗退、えっ?と驚くようなメダリストの誕生など、様々なドラマが展開しました。
世界で4位! 通常であれば文句なしに素晴らしい成績なのですが、ことオリンピックとなると、
「残念」という言葉が浮かんできてしまいます。それほど、メダリストとそれ以外の選手とに、
あまりにも大きな落差を生んでしまうシステム。だからこそ、メダルが一層の輝きを放つという
ことになるのでしょうけど、あと一歩、二歩、メダルに届かなかった選手達の姿に、心打たれる
ものがあります。<記録より記憶に残るアスリート>ということになりましょうか。
個人的には、今までそのように考えたことはなかったのですが、4年後のピョンチャン冬期
オリンピックに向けて<夢>ができました。ぜひ、高梨沙羅選手の金メダルを見届けて、
思い切り泣きたいと思っています。試合後のインタビューに応える姿、立派なものでした。
さぞかし、いろんな思いが脳裏をかけめぐっていた状況だったかと思います。普通の人だと、
頭の中が真っ白になったり、悲嘆に暮れたり、言い訳したくなったりするかもしれません。
凄い17歳です。・・・・・頑張れ。
同じように、重いものを背負って4年間を過ごした浅田真央選手。メダルこそなくとも、ソチ
オリンピックの名前とともに記憶に残ることでしょう。あのショートプログラムの後のフリー。
私はこういう劇的な展開を見ると、つい、口蹄疫等から立ち上がる本県の姿を重ね合わせて
しまいます。そのような状況で現れるのが底力であり、人を感動させる人の姿だと思うのです。
この上なく美しいフリーの演技の後に、万感の涙。忘れ難いシーン。
ベートーベンの交響曲第5番も第9番も、ブラームスの交響曲第1番も、共通するテーマは、
<苦悩を突き抜け歓喜に至る>であったりします。天の岩戸開きも、同じコンセプト。
フリーで選んだラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、うっとりするような名曲、私も大好きです。
閉会式で演奏されたとか。果たしてロシアの粋な計らいだったのかどうか。勝負は勝負として、
浅田選手の姿が、国内のみならず海外の人の心にも訴えるものがあったのだと思います。
朝日新聞DIGITALの「浅田真央 ラストダンス」。ひたすら美しい特集ページ。心打たれます。
http://www.asahi.com/olympics/sochi2014/lastdance/index_ie.html
美しいと言えば、スノーボード・パラレル大回転の銀メダリスト竹内智香さん、ハッと目を引く容貌。
新しいヒロインの誕生です。旭川出身で、縁あって広島で力をつけてきたというストーリーにも、
個人的に親近感を覚えます。スポンサー探しで苦労されている冬のスポーツの選手たち、
その点のアピールにも大きく貢献されたのではないでしょうか。
脱線しますが、そもそもスキーウェアの女性は、どうして普段より数段美しく見えるのでしょうか?
もっと適切な表現を使うと、より美しさを引き立てるのでしょうか? 以前より、そんなことを思って
いましたが、ソチの映像を見ていて、ますますそういう思いを強めています。女性から見た男性は
どうなのでしょうかね。今どきの婚活、改めてスキー場で行ってみてはどうかと。
ちなみに、今シーズン、五ヶ瀬スキー場の利用者が、久しぶりに目標の4万人を超えそうだとか。
昨年末、初めて家内と一緒に訪れ、雪質の良さや滑りやすさを堪能しました。私が行ったことで、
良い<流れ>を呼び込めたのかなと思い込もうとしたところ、やっぱりソチオリンピック効果
でしょうかね(笑)。ここは謙虚にならないと。
それはともかく、日本最南端のスキー場は、本県にとって貴重なスポーツ施設であり、観光施設
でもあります。もっと活用し、もっとアピールすべく、県全体として知恵を絞っていきたいと思います。
昨夜、少しだけアイスホッケー男子の決勝を観戦。やはり面白いですね。サッカーをする立場
からすると、ゴールの裏を使えるリンクの設定や、パックや人の動きのスピード感が、とても
新鮮ですし、肉弾戦の迫力、頻繁に行われるメンバーチェンジの駆け引き、パワープレーの
ドキドキ、狭いゴールマウスをこじ開ける駆け引きなど、自分がやりたいかどうかは別として、
本当に見ていて面白い魅力的なスポーツです。子供の頃はテレビで、また、アメリカにいた頃も、
よく観戦していました。生で見ると、あのガツン、ガツンが、また大迫力なのです。
予選のアメリカVSロシアでは、ゲームウィニングショットを見ました。要は、延長戦で勝敗が
決まらないときの決着のつけ方。センタースポットからパックを運んで、GKと1対1を行います。
3人対3人で決着がつかなければ、サドンデス方式に。サッカーのPKと違って、これがなかなか
決まらないのです。結局、この試合では、8回目でアメリカが勝利。最後は、エースが何度も
続けて登場するので、8回目ということになります。見ていてしびれました。
今回が特にそうだったのかは知りませんが、見ず知らずの種目が多かったように思います。
冬季スポーツや冬季オリンピックへの注目を高めるための工夫なのでしょうか。
それにしても、スキーやスノーボードのフリースタイル、ハーフパイプまではついていけても、
あのスロープスタイル、不思議な種目です。ジャンプの部分はまだしも、「ジブアイテム」という
そうなのですが、手すりのようなものを滑り降りたりして、SASUKEなどアスリート系のテレビ
番組を見てるかのよう。もちろん、華麗な演技に目を奪われますし、競技としての醍醐味も
あるのですが、少なくとも、これを見た一般のスキーヤーやボーダーが、じゃあやってみようと
いうことにはならない、限られた、見るための種目ということになります。
ネット情報によると、ジャンプ台やジブアイテムの数や設置状況など、事前には知らされず、
会場に着いてから演技を判断するとのこと。<スキー技術だけではなくこういった多くの
要素を兼ね備えた競技だからこそ北米ではスキースロープスタイル競技のトップ選手は
King of skiingと呼ばれている>とか。そんなものなんでしょうかね。
「より速く、より高く、より遠く」というオリンピックの原点に思いを馳せつつ、見て楽しむ競技
のあり方について考えさせられます。それもスポーツの魅力と言えば魅力。
最終的な各国のメダル獲得状況を見ると、史上最多88の国と地域の参加といいながら、
冬季オリンピックが、実質的には、北半球を中心とした、いわゆる先進国が中心の大会に
なっているという印象を受けます。
JETROジャカルタ事務所の富吉賢一所長(私の高校の先輩)は、ソチオリンピックについて、
<熱帯にいると全く報道されず、ジャカルタ新聞で結果を確認するだけ>とFacebookに
書き込んでおられました。そんなものかもしれません。
もちろん、だからといって冬季オリンピックの意義や価値を低く考えているわけではありません。
実態を客観的に把握しておくことも必要ではないかということ。参加国は増加しています。
練習環境などのハンディを背負いながら挑戦する熱帯の国々、まさに<参加することに
意義がある>というオリンピック精神を最も鮮烈にアピールしているように思います。
ソチの興奮そのままに、オリンピック雑感となってしまいました。このような感動や感激を
もたらしてくれた全ての関係者に、敬意を表します。
6年後の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、アスリートの繰り広げるドラマに
期待を寄せつつ、本県としては、しっかり「おもてなしプロジェクト」を展開していきたい
ところです。東九州道の開通と同じく、本県発展のバネにしていきたいと思います。
連日、華やかなソチ冬季オリンピックの競技が展開する一方で、会場周辺は、テロ対策
のため厳戒態勢が敷かれていたということや、すぐ近くのウクライナでは政権が崩壊した
という厳しい現実にも目を向ける必要があろうかと思います。
わが国では、列島各地を歴史的な大雪が見舞いました。私も、上京中、帰りの飛行機が
飛ばずに延泊する経験もしました。観測史上最多の積雪という地域も多かったようです。
各地で多くの死傷者が出て、甚大な被害が発生しています。被害に遭われた皆様に、
心よりお見舞い申し上げます。
情報収集や提供のあり方、自衛隊との連携、その後の復旧対応等、今回の災害でも
様々な教訓があったように思います。自然の恵みである冬季スポーツを楽しむ一方で、
再びその猛威を思い知らされることになりました。