ヨーロッパを訪れるのは10年ぶり。直近は、宮崎に赴任する前年の平成16年に、政府税制調査会の出張で北欧を訪れたとき。ちなみに、そのときの用務は、今話題の軽減税率をはじめとする消費税制度の調査でした。
今回は6泊7日の行程で、ミラノ3泊、フランクフルト1泊、機中2泊。用務からすると、思った以上に駆け足の出張となりました。
今回の用務は次のとおり。それぞれの概要について、以下で紹介します。
○ミラノ万博における「食」をはじめとする本県の魅力のPR
○ミラノにて、伊東マンショの絵画を所有する財団の訪問
○ミラノにて、CLT(直交集成板)による9階建て木造集合住宅の視察
○ローマにて、「高千穂郷・椎葉山の山間地農林業システム」の世界農業遺産登録に向けた国連食糧農業機関(FAO)の訪問
○フランクフルトにて、東京オリンピック・パラリンピックに向けたドイツ陸連と柔道連盟の訪問
【1】 ミラノ万博における「食」をはじめとする本県の魅力のPR
<1>
日本館における宮崎展示のオープニング前夜、「ミラノ国際博覧会宮崎レセプション」を開催しました。
これは、レストランのシェフやオーナー、メディア、市役所や商工会議所等、現地の関係者約40人をお招きし、宮崎の食材等をPRするもので、本県関係者を合わせ約100人が参加。
日伊双方の料理家による、宮崎牛等の県産食材を使った料理パフォーマンスや、映像による紹介が行われました。ミラノは夏の期間が短くあまり冷房を入れることが無いようで、そもそも空調の機能が弱い上に、多くの関係者でごった返した会場は熱気ムンムン。関係者に挨拶したり、現地メディアの取材を受けたり、汗だくになりながらのPRでした。
このような機会を通じて、1人でも多くの現地の皆さんに宮崎県について認知してもらうとともに、宮崎の事業者と現地のシェフやバイヤー等との接点が広がることを期待しています。
レセプションの冒頭、私の主催者としての挨拶で、少しイタリア語で話してみました。オペラのセリフがわかるようにならないかと、以前ラジオの講座で勉強しかけたことがあります。ほとんど忘れていますが、オペラのおかげで、おそらく英語以上に日常的に浴びているためか、なじみやすい言葉。しどろもどろになりつつも、何とかやってみたというところ(笑)。もっと勉強してみたくなりました。
この挨拶文は、こんな内容を話したいので翻訳してもらえますかと、現地の通訳の方に作文していただいたもの。手元にもらったのがレセプションの2時間前。あわてて発音や単語の意味を調べたり、必死になって覚えました(笑)。以下、そのときのことを懐かしく思い出しつつ、記録までに。
Buona sera a tutti.
Mi chiamo Shunji Kouno. Sono il governatore della prefettura Miyazaki.
Vorrei ringraziarvi della vostra presenza a questo ricevimento.
Miyazaki si trova sud del Giappone. Il clima e molto mite, cibo e ottimo, la gente e ospitale e gentile, come se fosse l'Italia in Giappone.
In quest ricevimento, vorrei che conosceste la nostra regione ricca di cultura e traduzione.
Per quanto mi riguarda, io amo calcio, vino, pasta, e l'opera lirica. In fatti, domani sera saro presante alla Scala per vedere "La Boheme".
Sento che i miei avi siano stati italiani.
<2>
ミラノ万博への出展に合わせ、9月1日から5日まで、ミラノ市内のレストラン2店舗で「宮崎牛フェア」が開催されました。写真左は、日本食を中心としたフュージョン料理「IYO」の市川晴夫シェフ。ミシュランガイド2015で一つ星を獲得された名店です。右は、ミラノで最も注目を集めるスポットにある大人気のレストラン「RATANA」のCesare Battistaシェフ。
レセプションの後、「RATANA」で実際のメニューを試食させていただいたのですが、ミラノ万博アンバサダーでもあるCesare Battistaシェフは宮崎牛について、<今までこんなに素晴らしい肉を扱ったことがない。脂身がしつこくなく、香りが素晴らしい。シェフとして、こんな肉に出会えたこたが幸せだ。>と大絶賛していただきました。ありがたいことです。
宮崎牛の良さを生かすには、生で食べるのが良いと、こんな形でいただきました。確かに絶品!
翌日は、現地ジャーナリスト招いて試食会も行われ、好評だったとのこと。今回の宮崎牛フェアをはじめ、様々なアレンジをいただいたCATENAの宮田理恵さんをはじめ、関係の皆さんに感謝申し上げます。
<3>
9月2日の朝、ミラノ万博・日本館における宮崎展示のオープニングセレモニーを実施。
思っていた以上に限られたイベントスペースに、来館者や宮崎関係者が入れ代わり立ち代わり集まり、銀鏡神楽の奉納や、みやざき犬のダンス、料理パフォーマンス、出展事業者によるふるまい、アンケート、メディア取材、剣道の演武、ミニ運玉投げ、絵馬奉納等々、とにかく賑やか。
以下の写真奥の「宮崎」という看板の下で、参加企業による試食提供がなされます。ちょうど大勢のお客様の行列ができているところ。その右手にステージがあり、壁面にスクリーンが設置されています。この細長いスペースが、出展者用に貸し出されるスペース。なお、写真左手のテーブルは、その左側にある日本食レストランのもので、我々出展者が使えるものではありません。
日本館の最後の展示、未来の食卓をテーマとしたショーが終わると、160人ほどのお客様がシアターからドッと出口へ向かいます。このイベントスペースは、その動線の左手に設けられたもの。まずは、人の流れをいかに呼び込むかがポイント。みやざき犬も、<試食ふるまいを実施しています>との看板を持って来場者にアピール。
みやざき犬については、ダンスによるアピールもさることながら、お客様が近くに寄ってきて、触れ合いや写真撮影などで楽しんでいただいたようです。
宮崎牛のふるまいでは、直前に料理パフォーマンスでステーキが焼かれたため、何とも食欲をそそる肉の匂いが会場を包みました。私も、経済連の新森会長らと一緒に、試食提供のブースの前で、一口サイズのステーキをお客様にふるまいました。
その評判は圧倒的。試食の後にカードを渡し、気に入ったか(PIACIUTO)、気に入らなかったか(NON PIACIUTO)、そのカードを該当するボックスに入れる方式で簡単なアンケートを実施したのですが、ほぼ全員が満足。私がいたときも、このとおり。
下の写真、白いセーターのご婦人は、しばらく現地スタッフと話をしておられました。何を話していたのか後でスタッフに確認したら、<宮崎牛をとても気に入った、イタリアに輸入されているのか?どこで売っているのか?輸入されたらぜひ買いに行きたい>といった内容を熱く語られたそうです。カードでの投票以外にも、このような個別の聞き取りを行って、お客様の反応を調査しました。
こうしたお客様の反応は、それ以外の食べ物、飲み物の振る舞いでも同様。別途行っている聞き取り調査の状況も含め、出展者それぞれに、手応えを感じたことと思います。
この日は、約3200人が、このイベントスペースを訪れたとのこと。出展者にとっても、輸入・流通業者等から間接的に消費者の反応等を聞くことはあっても、これだけ多くのイタリア人の感想に直接接する機会は無いとのことで、今回の万博出展は、貴重な機会となったようです。
日本館は、今回の万博の中でも1、2を争う人気パビリオン。以下の写真は、この日、朝イチの様子。オープン前から長蛇の列ができていました。