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児童心理治療施設「ひむかひこばえ学園」の開園式と、日向市立東郷学園若竹分校の開校式。
この施設は、日常生活や学校生活に心理的な困難を抱える子どもたちを、短期間、入所ないし通所させて専門的な支援を行うもの。本施設の定員は、入所35人、通所15人。
全国に38施設があり、これまで本県の子どもたちは熊本や鹿児島の施設にお世話になっていました。今日の開園式には、それらの施設の代表者も出席しておられましたので、私の挨拶の中でお礼を申し上げました。
県内での整備が長年の課題であったところ、今回、社会福祉法人清風会をはじめ、児童福祉施設や医療機関、日向市など、関係者のご尽力により、本県初となる施設が東郷小学校の跡地に整備されたのです。心より感謝申し上げます。
このような施設が全国で初めて整備されたのが昭和37年、岡山県の津島児童学院だそうです。岡山といえば、「児童福祉の父」石井十次さんが活躍した土地。その精神が生かされて実現したのかどうか、この点は定かではありません。
今年は、石井十次さんの生誕150年という節目の年。そのような年に、待望の施設が完成したことは、これも何かの縁かもしれません。先人の思いを引き継ぎながら、関係機関が連携し、より良い支援体制を構築していきたいと考えています。
今回の施設は、東郷小学校の廃公舎を活用し、県産材も使って再整備されたもので、体育館も校舎内も新築のよう。新しい建物の香りがしました。
校舎の壁面のユニークなデザインは、フクロウの顔とのことで、知恵の象徴でしょうか。東郷小学校の頃からのもの。
食堂のホワイトボードに、かわいいメッセージが書いてありました。細やかな気配りです。
ひこばえ学園には、児童指導員や保育士、セラピスト、看護士、栄養士など多くの職員による手厚い体制が整備されています。
校庭の石碑には、「われらは共に伸びゆかん」とあります。これは東郷小学校時代からのもので、東郷が生んだ国民的歌人、若山牧水の歌「若竹の伸びゆくごとく子ども等よ眞直にのばせ身をたましひを」によるもの。このたびの若竹分校も、ここから名付けられました。
また、「ひこばえ」とは、樹木の切り株や根元から生えてくる若芽のことで、子どもたちがたくましく成長することを願ってつけられました。
関係者の連携のもと、子どもたちの健やかな成長を心より願っています。
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ひこばえ学園の開園式からの帰りがけ、中島記念館を視察。
これは、メディキット株式会社の創立者である中島弘明会長(東郷町出身)が私財を投じて、工場敷地内に整備された県北初の美術館です。
http://www.medikit-art.jp/
東郷町出身の中島会長は、これまで日向市に美術館が無いことを残念に思い、ご自身で蒐集した絵画や陶磁器のコレクションの展示施設として整備され、2012年に開館しました。
開館前に施設本体が完成した時点では拝見していたものの、作品が展示されて以降は、初めての訪問となりました。
ゆったりとした造りの展示スペースに見事な作品がずらりと並び、素晴らしい美術館となっています。
日本画では、東山魁夷とか平山郁夫、横山大観、洋画では、梅原龍三郎、藤田嗣治、小磯良平、ルノアール、ユトリロ、陶磁器では、酒井田柿右衛門といった、私でも名前が分かるような作家の作品が並んでいて、うれしくなります。
それに加えて、そこまで名前の通っていない作家の作品であっても(すみません私が知らないだけで、もちろん有名な方だと思います)、展示されている作品が、<とても趣味の良いもの>という印象。
思わず深呼吸して、目から栄養を吸収できたような気になりました。眼福です。
事務所の方にうかがうと、来館者は、多い日で20人くらいとのこと。これは〈もったいない!〉。
今年は、県立美術館との交流展示も予定されているとのこと。ぜひともそのような機会を通じて、多くの方に中島記念館のことを知って、素晴らしい作品に触れていただきたいと思います。
日向インターチェンジから車で20分弱。豊かな自然に囲まれた美術館です。
日向灘の青と空の青。宮崎ならではのこの眺め、今日も格別でした。