知事選後、初の登庁ということで、県庁前庭で登庁セレモニーが行われました。その後、当選証書付与式があり、初の幹部会議の開催、職員への訓示も実施しました。
厳密に言うと、私の2期目がスタートするのは来年1月21日。最初は、今日の初登庁セレモニー等について、いかがなものかという思いもありました。ただ、選挙で掲げた「政策提案」の実現など、県民の期待にスピード感をもって応えていくためにも、実質的には今日が2期目のスタートという意識で走り出そうと考え、職員にもそのように伝えたところです。
一期目の初登庁では、つい涙してしまったことを思い出しました。その感激と感謝の思いに変わりはありませんが、何としても県民の皆様の負託に応えなければという決意や使命感の方が勝った、今朝の初登庁でした。
当選証書付与式。ズシッとその重みを受け止めました。初心を忘れることなく、前に進んでまいります。
以下は、県職員への訓示です。私自身が作成した原稿に、実際にその場で発言した内容も加味して整理し直しています。逆に、原稿では用意していたものの、現場では触れずに終わった部分もあります。全体として、このようなことが言いたかったという内容として記録しておきます。
選挙が終わったら、随分、身振り手振りが大きくなりましたねと、秘書広報課長に指摘されてしまいました(笑)。
========================================================================================
職員の皆さんに、一言ご挨拶申し上げます。
今回の知事選挙において、改めて県民の皆さんから負託をいただき、引き続き、県政を担うこととなりました。再びこの場に立ち、県勢発展に取り組む仲間である皆さんに挨拶できる喜びを感じています。
《2期目の県政》
厳密に言うと、2期目の県政は、来年1月21日からスタートします。
しかし、県民の皆さんから、引き続き、2期目の県政の負託をいただきました。選挙で掲げた「政策提案」でお示しした政策について、スピード感をもって取り組むためにも、実質的に今日から2期目のスタートだと考えています。その思いで、登庁セレモニーやこの初訓示に臨んでいます。
《県政への評価、安定・継続》
今回の選挙では、前回の29万3579票を上回る34万515票をいただきました。うれしい思いや手応え、さらには県政を継続できることへの安堵感とともに、責任の重さに身の引き締まる思いがしています。
今回の得票は、知事たる河野俊嗣への評価という面に加え、皆さんとともに進めてきたこの4年間の県政に対する評価でもあります。その意味で、職員の皆さんも「自信」を持っていただきたいと思います。
また、このところ1期、1期で知事が交代し、この間、残念ながら様々な事件や災害等がありました。今こそ県政を落ち着かせ、安定・継続させ、職員の皆さんには、「安心」して「腰を据えて」仕事に取り組んで欲しいと思います。
申し上げたいことは3点あります。
《高病原性鳥インフルエンザ 「常在危機」》
1点目。延岡市で発生した高病原性鳥インフルエンザについては、国や市、JA、建設業協会等の関係団体にご協力いただき、また、職員の皆さんの尽力により、迅速かつ的確に初動防疫を行うことができた。関係の皆さんに心よりお礼申し上げます。
警戒を強めていた中での発生、しかも、この農場では高いレベルで防疫が行われていたにもかかわらず発生しています。引き続き、防疫の徹底と、万が一発生した場合の迅速な対応を心がけていきたいと思います。
全国的に、御嶽山の噴火災害、広島での土砂災害など、今年も大規模な災害が相次ぎました。本県においても、硫黄山の活発化、そして鳥インフルエンザの発生など、4年前、私の就任直後を思わせる状況です。引き続き、「常在危機」という意識のもと、緊張感を持って、防災・危機管理体制の強化に徹底して取り組んでいきたいと思います。防災士ネットワークなど、民間の取組も進んできています。そうした取組を県庁がリードしていきたいと思います。
《21世紀版の殖産興業》
2点目。選挙戦では、いろいろなことがありました。
宮日の「100問アンケート」には、「自分を歴史上の人物に例えると誰か」という設問がありました。誰かに例えるという発想もなかなか出てこないもので、私は「(目標は)上杉鷹山」と書いて提出したのですが、紙面では「(目標は)」という部分が削除されていました(笑)。
私が尊敬する上杉鷹山公については、「為せば成る」の言葉や「伝国の辞」などに示された政治姿勢、素晴らしいものがあります。また、高鍋藩出身ながら米沢藩で藩政改革に実績を上げた仕事ぶりも、私にとって範としたいと考えています。
特に、上杉鷹山公は、藩政改革に取り組む中で、大倹約令と併せて殖産興業を奨励されています。米作以外の特産品開発に尽力した故事は、現代でも通用します。
地方創生の取組における「社会増対策」のカギは、「地方に仕事をつくり、安心して働けるようにすること」。選挙カーで県内を回っていても、県民アンケートを見ても、景気回復や雇用の安定・確保に対する期待が非常に大きいと受け止めています。
本県には、豊富な農林水産資源や観光資源を活用する余地、可能性は十分にあります。「伸びしろ」が大きいのです。企業誘致プラス人財誘致を進め、みやざきに人を呼び込んで業を興すこと、地域経済循環や地産外商を意識した成長産業や中核企業の育成が重要と考えています。
県民の期待の大きい「21世紀版の殖産興業」「宮崎版の殖産興業」を目指したいと思います。
《地方創生のトップランナー》
3点目。本県では、人口減少問題について、総合計画に位置づけ、いち早く対策に取り組んできました。その実績を踏まえ、真の地方創生を実現する「みやざきモデル」を政府に提言したところです。そのみやざきモデルの具現化が、今後4年間の一丁目一番地のテーマです。
地域の活性化や人口減対策は、これまでもやってきたのに効果が出ていないじゃないか、といったネガティブな発想をすべきではありません。本県は、ようやく整備が進み、国内外に開かれた交通インフラ等を最大限活用できるチャンスに恵まれ、「みやざき新時代」を迎えているのです。
これからは、グローバルな視点に加えて、地方の独自性や個性を発揮するローカリズムに、今一度光を当てる必要があります。たとえ、人口が日本の1%しかない小さい県であっても、国内外に開かれていること、働く場がきちんと確保されていること、くらしの質が豊かであること、人が生き生きとしていること、そういうみやざきを実現していきたいと思います。
例えば、オランダやデンマーク、ノルウェーなど、小さい国ながらも、農業や漁業で世界に冠たる輸出国となっている例はあります。本県として学ぶべき点は多いと思います。
我が国全体としても、高度成長期とは異なる発展・成熟のモデルを模索していく必要があると考えています。その中で、本県は、豊かな自然や、美味しい食べ物、温かい県民性、地域や社会の絆など、様々な魅力に恵まれています。これらをさらに磨き、「少子化からの脱却」「社会減の抑制」「中山間地域の振興」に取り組み、「地方創生のトップランナー」を目指したいと思います。
《政治姿勢》
これまでも、「対話と協働」や「徹底した現場主義」を政治信条として取り組んできました。職員の皆さんも、地域に飛び出して県民の皆さんと議論し、解決に向けて汗をかき、県民の力を引き出すことによって、「くらしの豊かさ日本一」をともに築いていきましょう。
《終わりに》
今後、長期ビジョンの改訂や私の「政策提案」を踏まえたアクションプランの策定、そして来年度予算の編成を、急ピッチで進めていただきたいと思います。
今や、世の中の目が「地方創生」に向いています。東京オリンピック・パラリンピックや高速道路の整備の進展、宮崎~香港便の開設といった追い風もしっかりとらえ、メリハリの効いた予算に仕上げたいと思います。
今から約20年後、本県は置県150年を迎えます。置県130年に際し、「温故知新」の精神で取り組んできました。未来のみやざきを担う世代のために、私たちが今何をすべきか、何を引き継ぐべきなのか。それをしっかり意識しながら、全庁一丸となって「みやざき新時代」を切り拓き、現世代に課せられた責務を果たしていきましょう。
=======================================================================================